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秩父ノスタルジー散歩 第1章 市街活性化への考察 [観光]

「秩父 ノスタルジー」の最終稿から約8年が経過した。この間に、秩父市街も大きく変化した。旧宝屋やキンカ堂の建物は解体された。宮前は足利銀行になった。大通りは無電線化が進むとともに、一部のお店が商いをやめた。宝屋の跡地には、コンビニができた。宝屋の敷地って、こんなに狭かったのか。訪れた時、そんな印象を持った。
街は、変化していく。変化は人々の需要によって生まれる。それは、何も秩父市街に限った話ではない。今の秩父市街の状況は、秩父市民の需要の象徴ともいえる。今後30年を見越した秩父市街の維持を、議会や市職員はどう考えているのか。もっと真剣な議論があってよい。高度成長期から、バブル経済、そしてIT革命へと続く時代の流れの中、ヴァリューは、「モノ」から「カネ」そして、「情報」へと変化している。工場の誘致も当然必要だが、今後を見据えれば「秩父シリコンBONCHI宣言」の名のもと、「IT サテライトオフィス」の提案が出てきても良いと思う。大企業では在宅勤務に代表されるように、勤務形態の自由化が進んでいる。現在では、都会にオフィスを集積させる効率性よりも、集積させるリスクに、むしろ目が向いてきているように感じる。豊かな自然環境のある秩父にサテライトオフィスを整備しておくことは、企業のニーズに合致しているとも言える。都会の喧騒の中で疲れ切ったITエンジニアたちが、秩父に2-3日滞在し、森の中で議論する。PCの画面から目を離して、星空を眺める。池袋から、特急で1時間20分。片道交通費2000円弱で、そんな環境が手に入る。プレゼンの仕方さえしっかりすれば、企業は目をつけると感じる。
専門知識のない素人の考えに過ぎないが、今後、各種機器のリモート化が進めば、ITバックアップサイトとして秩父がクローズアップされる可能性もあるのではないかと思っている。秩父盆地の河岸段丘が自然の「堤防」として機能していることから、秩父市街で台風や豪雨による水害が発生する蓋然性は低い。また、市街地であれば極端ながけ崩れの被害も想定しにくい。地震に関しても、津波被害の心配はない。また、もし仕組みを整えられればの前提にはなるが、水力発電所が近いので、原油やガスの供給停止に伴う電源喪失も回避できる可能性がある。災害発生時の都心からのアクセスビリティの確保は確かに課題ではあるが、リモートでの操作の進化により解決できる課題はあるかもしれない。

秩父市街活性化のもう一つの鍵は「観光」だろう。西武秩父駅の温泉施設の開業や西武鉄道のCMなど、秩父地方への注目度が高まる一方、秩父市街は長瀞・三峰といった観光拠点の玄関口としての位置づけを脱し切れていない。これは、芝桜の季節における観光客の動線からも容易に想像がつく。芝桜を見たら、せいぜい番場通りを通って秩父神社にお参りに行く位が秩父市街の「観光」であり、観光客の動きが「点」や「線」の領域を超えていかない。もっと面への展開ができないか、それが課題であろう。
なぜ今「観光」なのか。その答えは、「働き方改革」にある。厚労省は、有給休暇7割消化を目標としている。月に1日は有給取りましょうということだ。さて、その1日の休みをどう使うか。そういうタイミングだからこそ、秩父市街がそのコンテンツに磨きをかければ、手軽な観光地として、東京のサラリーマンの注目を集める可能性がある。
観光にとって必要な要素は3つある。「見る」「食べる」「買う」だ。この3つがそろった観光地は大抵人気がある。例えば、広島は宮島や平和記念公園を「見て」、カキとお好み焼きを「食べて」、もみじ饅頭を「買って」帰る。金沢は、茶屋街や兼六園を「見て」、加賀料理や金沢カレーを「食べて」、輪島塗や九谷焼を「買って」帰る。同じことは、京都や札幌でもいえる。この要素を秩父に当てはめた場合、まず市街に限れば、「見る」が圧倒的に不足している。「食べる」は、ソバやわらじカツ、ホルモン焼きなどで対応可能だ。「買う」は、銘仙と言いたいところだが、なかなか時代にマッチしない。かといって、石灰石はお土産にならないので、誰もが貰ったら「秩父に行ってきたの?」と思わず言ってしまう、もみじ饅頭や八つ橋のような定番のお土産の開発が急がれる。これは、秩父市内の製菓業者が共同で秩父ならではのお土産のコンセプトを決め、基本ルールに沿いながら独自のアレンジを施して展開していくのが一番効果的なのだろう。
他方、手軽な観光地には、リピート性が必要だ。ディズニーランドが成功しているのは、リピート性があるからだ。現代のように、ストレスフルな社会においてリピート性のあるテーマとなりうるのは、「静寂」とか、「精神的な安らぎ」といったものだろうし、それに見合う「パワースポット」的な提案は期待度が高いと思う。
今回は、以上をテーマとして秩父市街を歩くとするならば、どんな提案ができるのか、以下2章で真剣に考えてみたい。単純にコースを考えるだけでなく、そのコンテンツの魅力をアピールすることで、秩父市街の観光を「面」に広げることにチャレンジしてみたい。

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